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染色ってどんなやり方があるの?その1
こんにちは!大本染工社員Sです。前回は「染色とは一体なんなのか」と、「染色の歴史」についてお話しさせていただきました。その中で色々な染めの名前がでてきましたね。正直「ろうけつ染め」や「絞り染め」って聞いても、どんな染め方なのかイメージしづらいと思います。
染め方には色々な種類があり、それぞれに独自の特徴があります。
今回は代表的な染色技法の特徴とその方法についてご紹介させていただきます!
一回では紹介しきれないので、複数回に分けてご紹介させていただきますね。
1. 草木染め
植物や木の実など、自然界の素材を使用して染色する方法です。草木を煮だして作った染液で布や糸などを染めます。草木の種類によっては、煮ださずにそのまま染めることもあります。
有名な草木染めでは、藍という植物からとった青色の染液に布を浸して染色する「藍染め」がありますね!
主にシルク、綿、ウール素材を染色するが一般的です。
・特徴
1、環境にやさしい
天然由来の染料のため、科学染料と違い環境にやさしいです。科学染料の普及により影を潜めていましたが、環境問題が取り上げられる昨今では再び注目されてきています。
2、経年変化を楽しめる
湿気や日光などの自然要因や摩擦、汗などで色が変化していくのも草木染めの特徴の一つです。同じ染液で染めたとしても使い方で異なる色の変化を楽しめます。
3、それぞれに個性が出る
大量に均一の色を染色することができる科学染料と違い、草木染めでは染めている時間や時期により仕上がりは変わってきます。草木染め特有の個性ある仕上がりを楽しむことができます。
・使われる主な染料素材
- 藍(あい): 藍色
- ヨモギ: 黄緑色、灰色
- クチナシ: 鮮やかな黄色
- 柿: 茶色や橙色
- 栗(くり): 茶色
- 茜(あかね): 赤系統
- 紅花(べにばな): 鮮やかな赤色やピンク
- 桜: 淡いピンク
- 紫根(しこん): 紫色
- 玉ねぎの皮: 茶色やオレンジ色
2. 絞り染め
絞り染め(しぼりぞめ)とは、布を部分的に糸で縛ったり板で挟んだりすることで意図的に染料が布に浸透しない部分を作り、その部分を白く残したり、淡い色に仕上げたりなど独特の模様に染め上げる伝統的な染色技法です。草木染めと組み合わせることで、豊かな色合いや味のある染め上がりを楽しむことができます。
前回の染色の歴史の中で、奈良時代に中国から「三纈」(さんけち)という技法が伝わったとご紹介させていただきました。この三纈というのは糸で括って防染する「纐纈」(こうけち)、板で布を挟んで染める「夾纈」(きょうけち)、蝋で防染して染める「蝋纈」(ろうけち)のことです。つまり、絞り染めは遅くとも奈良時代にはすでに行われていて、現代にまで受け継がれているとても深い歴史がある技法なのです!
・特徴
1、立体感のある模様
絞り染めには、染め上がった布にシボという波状や粒状の凹凸があらわれます。
平面的に染め上がる友禅や型染など他の染色法と異なる立体感のある模様は絞り染めの大きな特徴です。
着物や浴衣、手ぬぐい、スカーフなど布製品に多く使われ、伝統的工芸品である有松・鳴海絞りや京鹿の子絞りが有名です。
2、偶然性と独自性
絞り染めは布の絞り方や縛り方によって模様が異なり、同じデザインがほぼ再現されることがありません。染料の滲み方や模様の出方など、全く同じものではなく、それぞれ違った仕上がりになるところが絞り染めの最大の魅力です。
3、多様な技法により幅広いデザインが可能
絞り染めで作れる模様はすごく幅広いです。例えば、「縫い絞り」や「板締め絞り」などいろんな防染技法がありますし、縛る位置や方法によって、幾何学的な模様から自然な形状まで、幅広いデザインが可能になっています。
・絞り染めの代表的な技法
縫い絞り(ぬいしぼり): 布に糸を通して縫い、糸を引き締めて染めます。糸で絞った部分は染まらず、曲線的な模様が生まれます。
板締め絞り(いたじめしぼり): 布を板で挟んで折りたたみ、染料が染まらないようにする方法です。板の形に沿ったシャープな模様が生まれます。
ねじり絞り: 布をねじって縛り、染める方法です。螺旋状や波状の模様ができます。
玉絞り: 布の一部をつまんで丸く縛り、染めた後に玉のような形状の模様が生まれる技法です。
まとめ
今回は「草木染め」と「絞り染め」についてお話しさせていただきました。どちらも古い歴史があり、伝統工芸品に指定されているものもあります。今回ご紹介させていただいた染め方は、工夫次第で色々な模様や色合いがだせ、職人一人一人の味が出るとても面白い染めの技法ですね!
まだまだたくさんの染め方があるので続きはまた次回にご紹介させていただきますね。
お楽しみに!