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染色技術

染色ってどんな種類があるの?UVプリント編

こんにちは!大本染工社員Sです。
前回はインクジェットプリントについてご紹介させていただきました。
今回はよりいろんな素材に対応でき、立体的にもプリントできるUVプリントについてお話しさせていただきます。

UVプリントとは

UVプリントとは、UV(紫外線)硬化型インクを用いた立体的な印刷技術です。通常の2D印刷と異なり、素材の表面に厚みのあるインクを盛り上げて印刷できるため、立体的な表現を作ることができます。

・通常のインクジェットプリントとの違い

UVプリントには紫外線硬化インクという特殊なインクを使用します。
これは読んで字のごとく、紫外線を当てることによって固まるインクのことです。
通常の乾燥式インクに比べ、紫外線を当てることで即硬化するという速乾性があります。
通常インクだと層を重ねると滲みや垂れ、乾燥不良を起こし、うまく立体的な表現をすることができませんが紫外線硬化インクの場合、紫外線を当てると即座に固まるため、層を重ねても滲んだり垂れたりしないんです。
そういった特徴から、立体的な文字や模様などの表現が出来るようになるわけです!
またグロスインクという特殊なインクもあり、光沢や艶などのテクスチャーをもたせることもできます。

・多様な素材に対応

UVインクジェットプリントでは紙や生地だけでなく、アクリル・ガラス・木材・金属・革・プラスチックなどにも直接印刷可能です。
様々な素材にプリントできるため、アイデア次第では誰とも被らない自分だけのオリジナルアイテムだって作ることができます!

制作例のご紹介




麻雀牌ケース×麻雀牌

パソコンケース×錦鯉

モンスターエナジー×ショルダーバッグ

超素子(ちょそこ)さん

細いディテールもしっかり表現できています

後で詳しくご説明しますが、こちらは超素材研究部という弊社のチームが作成した作品です!
このように、UVプリントは素材を選ばずプリントできるのでアイデアを形にしやすいという点がとても魅力的なプリント方法だと感じました。
コスプレイヤーさん向けのアイテムとも相性抜群ですね!

UVど素人が実際にプリントしてみた

いろんな素材に対応していることや、光沢などの表現も可能ということがわかりました。
次は実際にデータを作って制作しながらプリントの過程を解説したいと思います。
自分は一度もUVで制作をした事のない完全ど素人なので本当にちゃんとプリント出来るか、再現性はどうかなど全く未知です!
なのでそういったところにも注目しながら制作していこうと思います。



1.素材とデータを用意する

まず初めに実際プリントする素材とデータを用意します。
素材はどうせ作るなら部屋に飾れるような物をと思い、アクリル板を用意しました。
データは、制作したのが7月だったので夏っぽいイラストを描きました。

2.レイヤー分け

次にホワイトインクを吹く箇所や、立体的に見せたい箇所をレイヤーで細かく分けるという作業をします。この工程は立体感や仕上がりのクオリティーに直接関わってくる大事な工程です。細かく立体感をつける場合はその部分をレイヤー分けし、グレースケールで色のコントラストをつけたり細かい調整を行います。
今回自分は下地にホワイトインクを吹くためのレイヤー、制作したデータを再現するカラーのレイヤー、盛り上げたり光沢を出したりなど味付けをするレイヤーを用意しました。
この工程が自分にとっては1番苦手な部分で、全く仕上がりのイメージが持てなかったので苦労しました。
細かいコツやデータサイズは超素研(超素材研究部)の方にアドバイスをもらいながら行いました。

3.プリント

1.下地インク

まずホワイトインクを下地に吹きました。

2.カラーインク

次にカラーインクを吹きます。
正直データの色や細かいディティールまでしっかり再現されるか不安でしたが、色の誤差もなく、花火の細かい点や浴衣の柄の配色なども完全に再現されていて感動しました。

3.立体感をつける

今回は人物を少し立体的に、手に持っているヨーヨーに光沢を持たせて立体的に見せたかったので、人物にマットインク、ヨーヨーにグロスインクを使いました。
写真ではわかりづらいですが人物は触るとわかる程度に盛り上がっていて、ヨーヨーはしっかり光沢感と立体感があります。


4.完成

無事完成しました!
実際制作してみて、初めはデータをそのまま形にする際はどこかを妥協しないといけなかったり、思い通りに再現できないだろうなと正直思っていました。
仕上がった物は色味はデータと見比べてもほぼ差異なく再現されていて、しっかり狙ったところに立体感や艶といったテクスチャーがつけられていて正確性にびっくりしました!
ど素人が制作したものなのでレイヤー分けはかなり少ないですが、もっとレイヤー分けをしてインクを吹く回数を増やすなど細く調整すれば全く違ったクオリティーに仕上げることもできると思います。
そう考えるとUVの再現性と汎用性の高さは本当にすごいと思いました。

超素材研究部での活動

先ほど作品をご紹介しましたが弊社では超素材研究部でUVプリントを使ったいろいろな加工を行っています。
一部抜粋してご紹介させていただきます。


このほかにもいろいろなプリントを行っていますので、もし気になる方がいらっしゃいましたら、Xのリンクを下記に貼っていますのでご確認いただけたらと思います。


まとめ

今回はUVインクジェットプリントについてご紹介させていただきました。
立体的に見せられるのでテクスチャーのある物や、現実にはないファンタジーな物とかとも相性がいいと思いました。
実際作ってみて面白かったですし、表現の幅が広くいろんな素材にプリントできるので、クリエイターの方にとっては創作意欲を駆り立たせられるとても魅力的なプリント方法ではないでしょうか?

今回で一旦「染色にはどんな種類があるの?」シリーズは終了になります。
次回からも染色についてやプリントの魅力を発信していきますのでまたみていただけると幸いです。
それではまた!