社員ブログ

染色素材・材料

暮らしに役立つ生地知識 その1 天然繊維編

こんにちは!大本染工社員Sです。
今回からは生地について、主にファッションなどの観点から暮らしに役立つような知識を絡めながらお話しをさせていただこうかと思います。

皆さんは今着ている服やお気に入りの服にどんな素材が使われているか、その素材がどんな特徴を持っているかをご存知でしょうか?
恥ずかしながら自分は、大本に入社するまで何も考えずただ気に入った服を買って着るだけで、素材については全く気にしていませんでした。
入社して生地素材の特徴を徐々に知っていくことで、その季節にあったアイテムを効率よく探すことができるようになり、ファッションや買い物をより楽しめるようになったと思います。
生地のことを学ぶことは業界の方だけでなく、一般の方にとっても有益なことだと思うので良ければ最後までお付き合いいただけたらと思います。


生地のことを学ぶとはいえ、生地にはたくさんの種類があり織物やニットなど編みの違いや、同じニットの中でも、「天竺編み」や「スムース」「フライス」と編み方の違いでさまざな名前がついていたりするので、どこから手をつけたらいいのかわからないと思います。
生地って奥が深いんですよね。
編みの違いによってもそれぞれ細かい特徴があったりするのですが、いきなりだと情報過多で疲れてしまうので、それはおいおい少しずつ解説していきますね。
今回は主に生地の一番大元となる、繊維について解説していこうかと思います。
繊維だけでもファッションや暮らしに役立てる情報はたくさんあるので、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。

生地繊維の種類

生地は大まかに分け、綿・麻・シルクなどの天然繊維ポリエステル・ナイロン・キュプラなどの化学繊維があるのですが、今回はまず天然繊維について詳しくお話できたらと思います。

天然繊維の特徴

天然繊維には植物由来の植物繊維動物由来の動物繊維があります。

植物繊維のものは、種子・茎・葉から取れる繊維で主成分は植物の細胞壁を作るセルロースです。
代表的なものに綿(コットン)や(リネン)などがあります。

動物繊維は、動物の毛や繭からとれる繊維で主成分はタンパク質です。
代表例はウールシルクがあります。

メリット

・肌触りが良く、吸湿性・通気性が高い
動物性繊維は保温性があり、植物性繊維は吸水性が優れている
・環境にやさしい

デメリット

綿や麻はシワになりやすい
・虫食いやカビに弱い
・ウールやシルクは洗濯で縮みやすい
化学繊維に比べると価格が高め


植物繊維は サラッとした肌触りで吸水性や通気性が高いため、夏向きの物が多く、逆に動物繊維は 保温性や高級感があり、冬向きのものが多いです

ざっくりと普段着に使える天然繊維を種類と用途でまとめてみました。

種類繊維名特徴普段着での用途
天然繊維(植物系)綿(コットン)吸水性◎、肌触り良い、シワになりやすいTシャツ、シャツ、デニム、パジャマ、下着
麻(リネン、ラミー)シャリ感、通気性抜群、涼しいがシワができやすい夏用シャツ、ワンピース、パンツ
天然繊維(動物系)ウール保温性高い、弾力あり、縮みやすいセーター、コート、スーツ
カシミヤ柔らかく軽い、高級感ありセーター、ストール
シルクなめらか、光沢あり、デリケートブラウス、スカーフ、インナー

特徴的な天然繊維

ヘンプ(大麻)

・麻の一種。通気性・耐久性が高く、環境負荷も低いエコ素材。

・「サステナブルファッション」として注目。

・カジュアルなTシャツやワークパンツ、アウトドア服に多い。

・夏の衣服や寝具に向いている

・ドラッグに使用される大麻と違い、繊維用として品種改良されたヘンプは、陶酔作用成分(THC)をほとんど含まないため、人体に悪影響はない


バナナ繊維(バナナクロス )

・バナナの茎からとれる繊維で、麻に似たサラッとした肌触りと、リネン風のシャリ感がある。

・軽くて丈夫。シャツや伝統衣装、バッグにも。

大量に廃棄されるバナナの茎をアップサイクルし、地球環境や人々の生活に配慮したサステナブルな素材

・吸水性が高く、春夏向けの繊維


パイナップル繊維(ピニャ)

・パイナップルの葉からとれる繊維。フィリピンでは礼装のシャツ「バロン・タガログ」に使われる。

・絹のような光沢があり、軽くて通気性が良い。

・繊維自体は細いが、強度が高く丈夫

衣類だけでなく建築資材(カーテン)や、高濃度の樹脂と複合したバイオプラスチック(タンブラー)など幅広い用途がある


和紙糸

・日本独自の素材。和紙を細くカットして撚った糸。

・通気性があり、軽くて丈夫。消臭性や速乾性も注目され、Tシャツや靴下に人気。

・水に弱く洗濯に不向き

化学的な加工を施さなくても高い紫外線カット効果がある

・チクチク感がなくしっとりとした肌触り

・環境負荷が少ない

ヤクやアルパカの毛

・ヤク(チベットの牛)やアルパカ(南米のラクダ科)の毛は、カシミヤ並みに柔らかくて暖かい

・冬の高級ニットやストールとして知られる

・毛玉ができにくく丈夫でシワになりにくいので、長く愛用できる

油分があり水性汚れを弾くため、お手入れがしやすい

まとめ

今回は生地素材の天然繊維について解説させていただきました。
天然の素材は綿や麻は有名ですが、そのほかにもバナナやパイナップル、和紙を使ったものなど昨今話題の環境問題に配慮した素材も出てきています。
その他にも、変わった面白い素材はたくさんあるのでまたご紹介できたらと思います。
次回は化学繊維について深掘りしていく予定なのでまた見ていただけると嬉しいです。
ではまた!