社員ブログ

プリントの生産工程について
こんにちは!大本染工の社員Mです!
新年明けて投稿が滞ってしまっていたのですが…
2025年も、ゆる~くテキスタイルプリントについて発信していこうと思います☀
よろしくお願いします。
さて、今回はプリントの生産工程についてご紹介いたします。
(赤色の染めのお話は少しおやすみです…( ˘ω˘ ))
大本染工には様々なプリント用の機械設備がありますが、
それらの中でも、オートスクリーンプリントの機械は
色ごとの型を作って、それに捺染…といったように、
一般的に想像されるテキスタイルプリントに
近いのではないかと思います。
今回はそんなオートスクリーンプリント(以下オート)を例に、
テキスタイルプリントがどうやって出来上がるのか見ていきましょう!
オートスクリーンプリントの生産工程
そもそもオートスクリーンってなんぞや?という方に向けてご説明いたしますと、
オートは自動、スクリーンは型を表します。つまり自動で型染めを行う機械のことです。

大量生産を可能にしているのです。
捺染(プリント)そのものは主に機械が行いますが、
機械の調整はもちろん、前後の工程にも多くの人の手が加わっています。
オートの生産工程はこんな感じです↓↓
①企画・図案制作
②型製作
③マス見本製作
④プリント
⑤整理
さっそく次項から詳しく見ていきましょう!
工程1:企画~型の製作

まず、トレンドや新しい染色技術などの情報収集を基に、
アパレルメーカーやデザイナーが企画を立案します。
情報源としては主に展示会、ファッション関係の専門誌、
SNSなどのオンラインメディアが挙げられます。
次に、企画を基にメーカーとテキスタイルコンバーターが
商談を行い、図案を制作します。

服地の生産管理を担う卸売業者を指します。

図案家はメーカーや工場に所属している人もいれば、
フリーランスで活躍している人もいます。
図案の作製は、素材や柄を活かした表現を追求するのは
もちろんのこと、型の枚数が決まるという観点でも重要な工程です。
図案が決定したら、型の製作に移ります。
まず図案に使用された色を分解し(「トレス」といいます)、
そのデータを基に一色ごとに一枚の型を作製します。
このトレスの表現によって柄の見え方は異なってくるため、
型屋と染工場が入念にチェックを行います。

工程2:マス見本~オートでの捺染
ここからは大本染工のお仕事です✨
テキスタイルコンバーターからの指示や色の見本を参考に、
配色作業、すなわちマス見本の作製に移ります。
マス見本とは、量産用と同じ生地に
配色で決めた色を差して作る配色見本のことです。
生地にテープを貼って桝形(四角)に区分することで、
一度に多くの配色見本を作成します。
このマス見本を先方へ提出して承認を得て、
最終の配色や色数が決定します。



提出して、量産用の配色に最も相応しいものを選んでもらいます。
配色決定後の量産加工はオートスクリーンの機械で行います。
下生地のセット→捺染→乾燥までの工程がほぼ自動的に行われます✨
①接着用樹脂を塗布したゴムベルトの上に生地を貼り付け
②色数分の型とスケージをセットして、それぞれの色糊を流し込む ←ここは手動です!
③生地の上に型が降下し、スケージ(ゴム製のヘラ)で擦る
④型が上昇して生地が一型分移動、ベルトが停止して型がまた降下…
この工程を繰り返します。
捺染後の生地はベルトから剝がれ、自動で乾燥機に入っていきます。
捺染が終わった生地は、染料を発色・定着させるために蒸しの工程に入ります。
蒸し機と呼ばれる巨大な機械に、反物をほどいた状態で投入し、
高温もしくは高圧の蒸気に晒します。
HTというのはHigh Temperatureの略です♨
他にHPスチーマーという種類もあり、こちらはHigh Pressure(高圧)の略です。
工程3:整理仕上げ~検査

大本染工では、ここから先の工程は整理工場に外注しています。
整理の工程では、生地の伸縮性や風合いの改善など、
商品価値を高めるために様々な仕上げ方法があります。
中でも、水洗・ソーピングは重要工程です。
水洗で未染着の染料等を洗い落とした後に、
50℃~90℃のお湯と洗剤や還元剤を用いて洗浄します。
余分な染料や糊剤をしっかり落とし、堅牢度を高めるためには必須の工程です!
ソーピング後は、素材の特性等によって様々な加工を施します。その一例をご紹介します👇
・柔軟加工…風合いを柔らかくするために柔軟剤を投入
・帯電防止加工…ポリエステル等の生地の静電気発生を軽減するために帯電防止剤で処理
・フィックス…堅牢度を向上させるため色止め剤を使用
・幅出しセット…テンターと呼ばれる幅出し機で、生地幅の設定や柄の大きさを調整
整理加工後は検反して、汚れやキズ等の不良部分が無いかをチェックします!

最後に、整理工場から出荷された反物は、自社もしくは第三者機関で最終検査が行われます。
染色堅牢度や耐光堅牢度、摩擦堅牢度試験などを経て、高品質の生地が縫製工場へ出荷されます!
まとめ

このように、テキスタイルプリントは様々な工程を経て服飾用生地として出荷されます✨
とりわけオートスクリーンプリントの加工では、
型や色糊など特有のものが多く出てきましたね!
機械での大量生産が当たり前の世の中でも、
様々な職種の人々が、デザイナーの意匠や技巧を再現するために
ものづくりに取り組むプロフェッショナルとして活躍しています。
あなたが普段身に着けている衣服も、きっと作り手の工夫が詰まっているはず…
ぜひテキスタイルプリントの面白さ、奥深さに興味を持っていただけたら嬉しいです。
それではまた!
参考文献
京都織物卸商業組合 テキスタイル部品質管理委員会 (2014) . 『プリントハンドブック』.
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