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人類最強のテキスタイル 宇宙服は布の集合体!?

こんにちは!大本染工社員Sです。
やっと梅雨が明け、ついに本格的な夏が到来した感じがします。
最近暑すぎて外に出るのも億劫になりませんか?自分は海や山が好きでちょっと前までは自然に触れるために出かけたりしてたのですが、この暑さだと流石に引きこもりがちになってしまいます。
そういうわけで最近は映画やアニメといったエンタメに触れることも多いんですけど、ずっとSF映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が気になっています。

SFものといえば宇宙服が出てきますよね。
宇宙空間という特殊な環境でも生存できるとてもすごいこの服、一体どうやってできているか気になりませんか?
テキスタイルに携わる者としてはとても気になります😏
ということで、調べてみたので今回はテキスタイルと宇宙服の関係についてお話しさせてください。
今回は超マニアック回ですがご容赦くださいませ😅

宇宙空間ってどんな環境?

まずは宇宙服がどれだけ凄いものかを実感するために、宇宙空間がどのような環境になっているかをみていきましょう。

①真空

真空とは一切空気が存在しない環境です。
空気が一切ない環境だと、まず呼吸ができないですよね。なので数十秒で気絶してしまいます。
音を生む振動がないため音も伝わらず、気圧がないことで体内の水分が沸騰するという恐ろしいことが起こります。

②灼熱と極寒が同時に存在する

宇宙空間は温度差が極端で120℃以上から、影だと−150℃以下にまで下がると言われています。
空気という温度をならす緩衝材がないため暑いところはずっと暑く、寒いところはずっと寒いカオスな環境です。

③紫外線、放射線をもろに受ける

地球は大気と磁場によって守られているので私たちは平気でいられます。
しかし宇宙空間ではそういったものが存在しないため、皮膚やDNAにダメージを受けます。

④微小隕石という見えない弾丸が飛び交っている

宇宙空間では微小隕石というとても小さな石ころみたいなのが飛び交っています。
速さは秒速数10キロ以上で銃弾の10倍以上の速さだと言われてます。
こんなものが当たったらひとたまりも無いですね😱

⑤無重力

宇宙といえば重力がありませんよね。
重力がないことでバランス感覚が狂うだけでなく、筋肉が衰えたり骨密度が低下し骨折しやすくなったりします。
重力があることで私たちは無意識に筋トレしている状態だったんですね。

宇宙服のヤバさ

ここまで宇宙環境の過酷さをみてきましたが、正直思った以上に過酷な環境でした。
こんな状況で普通の服で放り出されたらひとたまりもないことは想像に容易いのですが、そんな人間の生きられない環境を生きられる環境に変えている宇宙服って本当にすごいですよね。
要するに「空気を作る」「温度を調節する」「衝撃を防ぐ」「放射線を遮る」という役割をあの服ひとつで担っているのです。すごい技術ですよね😄
どうやってそんなことを可能にしているのかもう少し深掘りしてみましょう。

宇宙服は着る宇宙船

普段の服は空気の中で着るものですが、宇宙服は服の中に人間が生きられる空気環境を作っているものです。そして外部は宇宙の過酷な環境から身を守るためとても頑丈なものになっています。いわば小さな宇宙船を纏っているといっても過言ではありません。
もちろん一つの素材だけで作られているわけではなく、色々な素材を使って作られています。
これからどのような構造になっていて、どのようなテキスタイル素材が使われいるかをざっくりとご紹介させていただきます。

多層構造で作られる快適性と堅牢性の両立

宇宙環境で作業するためには多種多様な素材を使い、快適性と堅牢性を生み出す必要があります。
そのためスーツは細かく分けると約14層も素材を重ねて作られているんです。
その層は内にいくほど人間を守る層、外に行くほど宇宙に対抗する層になっています。
今回はざっくり分けた重要な層について解説します。

JAXA宇宙航空研究開発機構より抜粋


①内側層 快適+体温調節

人間の肌に触れる場所にはお馴染みのポリエステル素材が使われていて、人間の体にフィットさせ汗の処理などを行う役割を果たしています。
水が流れるチューブをつけることで、体温の調節も行っています。

JAXA宇宙航空開発研究機構より抜粋

②気密層 空気を閉じ込め逃さない

気密層にはコーティングしたナイロン素材が使われています。
ナイロン繊維の布だけでは空気は逃げていってしまうため、この布にポリマーなどでコーティングしたものが使われます。
このコーティングしたナイロン素材を使うことにより、柔らかいのに空気を外に逃さず、内部の気圧を維持することができるんです。

③強化層 破れ、圧力に耐える

強化層と呼ばれる部分には主にタグロン(高強度ポリエステル)とkevlar(アラミド繊維)が使われています。
この素材は軽いうえにひっぱりに強い特徴があります。破れを防ぐとともに内圧による膨張を抑え、力を分散し動きを制御します。
いわば骨格のような役割を果たしています。
その強度は防弾チョッキなみだと言われています。

④断熱層 温度から守る

断熱層にはアルミ素材が使われます。
アルミの最大の特徴は外部の熱を反射し、内部の熱を閉じ込めるというところです。
地球には空気で伝わる対流熱や、触れて伝わる伝導熱がありますが宇宙には放射熱しか存在しません。
アルミは赤外線を反射するため、宇宙の放射熱から守ることができるんです。
太陽の熱を跳ね返し体の熱を逃げにくくすることで、熱くなりすぎず冷えすぎない環境を作り出しています。

⑤外側層 外的ダメージを防ぐ

一番外側にはベータクロスというガラス繊維にテフロンがコーティングされたものが使われています。
高い耐火性(約650℃)、太陽光を反射し温度上昇を避ける役割や微小隕石から守る強度を持っています。
テフロンで加工されているため、表面摩擦はかなり少ない素材です
全てのダメージをベータクロスで防御してるわけではなくあくまで第一防壁として機能し、今までご紹介してきた全ての層でダメージを防いでいます。
つまり宇宙服は役割分担されたテキスタイルの集合体なんです!

宇宙服の技術は私たちの服にも使われている

宇宙服の技術はそっくりそのままの形で私たち日常に使われることはありません。
しかしその発想や一部の技術は応用され使われています。
また別のブログで詳しくご紹介したいと思いますが、一部ご紹介しますね。

ゴアテックス

ゴアテックスは宇宙服の主に外層に使用される素材ですが、日常だとアウトドア用品や防水靴などに使用されています。
外部からの水は通さず、内からの水蒸気は逃がす機能があります。

断熱シート 保温シート

アルミ素材を使った車のサンシェードや保温シートなども宇宙服の断熱層での技術が使われています。
アルミは熱を反射する効果があるため、外側の熱ははじき、内側の熱はとどめる効果があります。

エアロゲル素材

宇宙服にも採用されている最強の断熱素材であるエアロゲルは2ミリの厚さで約195℃の断熱を可能にしていると言われています。
数ミリの薄さでもダウンジャケットに匹敵する防寒性があるため、アウターで使われることが多い素材です。

撥水加工

テフロンを使用した撥水加工も宇宙服の外層の技術が応用されていますね。
汚れやすい作業着やアウトドア用品などに用いられている技術です。

まとめ

本日は宇宙服についてのお話でした。
宇宙服は一つの素材で出来ているわけではなく、それぞれ役割を持った素材の層が積み重なって最強の防御力を作っていることがわかりました。
まさに団結は力なりを体現しています。
宇宙服に使われている技術って意外と日常にも多く落とし込まれていて、科学の進歩とともにもっともっと応用されていくと思います。
今では想像もできないくらいすごい技術や素材がこのさき生まれていくと思うとワクワクしますね!😆

ということで、今回はかなりマニアックだったと思いますが最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今回ご紹介したゴアテックスなどの防水素材はまた後のブログでご紹介しますね!
ではまた!