社員ブログ

前処理糊はなぜ使い分けるの?

こんにちは!大本社員Sです。
今回はインクジェットプリントで使われる前処理糊についてお話しさせていただきたいと思います。
前処理糊を使う目的については過去にこちらのブログで解説させていただきましたので、気になる方はご覧いただけたらと思います。
皆さん、弊社で扱っている前処理糊って何種類くらいあるかイメージできますか?
実は細かく分けると10種類以上あり、生地や柄によって使い分けているんです。
以前のブログで反応染料用の前処理糊と、分散染料用の前処理糊があるとお伝えしました。
弊社ではこの大きく分けた2つの糊をさらに細かく使い分け、前処理を行います。
「なぜ使い分ける必要があるのか?」「1つの糊ではどうしてダメなのか?」
その理由をこれからお話ししていこうと思います。
季節によって発色が変わる

例えば同じ柄を同じ前処理糊を使って夏と冬にプリントしたとします。
色の上がりはどうなると思いますか?
実は夏にプリントしたものの方が冬にプリントしたものより濃く発色した物が上がる場合が多いです。
このように発色は色の選び方だけでなく温度や湿度によっても左右されます。
温度が高い方が染料が生地に深く浸透しやすく色濃く発色しやすくなります。季節によっては色が濃くなりすぎてしまう場合があるので注意して糊を選びます。
また湿度が高いとべたつきやすくなるため、生地が汚れやすくなったり柄が滲んでしまうこともあります。
オールシーズン発色を安定させるには糊の粘度、成分を季節ごとに調整していく必要があるんです。
柄の色味で変える

先ほどお伝えした通り、糊は発色の濃さに関係してきます。
柄の種類によっても同様に、濃い柄・薄い柄・ベタ柄など柄の特性によって糊を使い分けます。
色は完璧に合っていても、糊の選択を間違えた場合思ったより薄く上がってしまったり、濃かったり、蒸す際にベタついて生地を汚してしまうといったトラブルにつながってしまいます。
このようなトラブルを防ぐため、大本染工ではあらかじめ加工前に配色担当者、加工担当者、責任者で柄の情報や生地の特性を共有し、糊選びや加工に臨みます。
生地の厚み、特性によって変える

生地の厚みによっても糊の成分を変えることがあります。
柄の色味同様、厚みの違う生地に対して糊の使い分けをしないと濃い薄いの色味の差が出てしまいます。
染料は前処理糊なしに吹き付けても浸透、定着してくれません。すぐに脱色してしまったり、滲んだりしてしまいます。
適正な糊を選択することでしっかり生地をコーティングすることができるため染料を浸透、定着させることができるんです。
こういった理由から、しっかり狙った色味を出すために生地の厚みを考慮し糊を選びます。
素材の混率によって変える

同じポリエステルでもアセテートが入っていたりなど、素材の種類や混率によって糊を変えます。
ウールなど一部の素材はそれ専用の特殊な糊を使うこともあります。こういった糊は普段使う反応糊や分散糊と少し特性が違い、前処理も難しく注意が必要です。
特に粘度の低い糊を使用する場合、スケージを当てた際生地裏に空気が入りやすかったり、糊ムラができやすいんです。
粘度など糊の特性と生地との相性があるので、仕上がりだけでなく前処理トラブルを防ぐという意味でも糊の特性を理解しておくことは現場として重要事項です。
脆化、黄変する危険性がある場合

生地によっては前処理糊の選択を間違えると熱による脆化、黄変につながる可能性があります。
特にシルクなどデリケートな生地の場合脆化や黄変しやすく、糊ムラも仕上がりに影響しやすいため、糊の選択だけでなく前処理工程もより慎重に丁寧に行います。
できるだけ低温でじっくり乾かすことで繊維の強度が落ちるのを防ぎ、生地焼けのリスクを減らします。
生地が硬くなってしまう場合

糊によっては風合いが若干硬くなる時があります。
柔らかい風合いを損いたくない場合など風合いをコントロールするために糊を変える事があります。
糊で質感が劇的に変わるわけではないのですが、稀にこういったケースがあるため風合いや質感を考慮し糊を選びます。
まとめ
今回は糊についてのお話でした。
前処理といっても一つの糊を使って行うわけではなく、生地の特徴や季節的要因などを考慮し使い分けているんです。
インクジェットプリントの加工においては、狙った発色を出すための色の更正・選択だけでなく、一番最初の前処理段階から実は勝負は始まっているんです。
なので、前処理って地味な下準備作業ですがかなり重要なんですよね。
もちろん前処理だけでなくプリントに関わる全ての工程が発色に関係してくるので、狙った発色が出なかった場合さまざまな要因を考え、試行錯誤しながら原因追求をする必要があります。
生地は生き物と言われるようになかなか一筋縄ではいかないものもあり、そういった生地の加工は苦労しますね。
そこがインクジェットプリントの大変なところであり、面白さでもあると思いますが😄
ということで最後まで見ていただきありがとうございました!次回は超マニアック回になると思いますがまた見ていただけると嬉しいです。
ではまた!✋

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