社員ブログ

染色素材・材料

色材について~染料と顔料~

こんにちは、大本染工の社員Mです☀
今回は、染色に使われる色材(色料)について紹介していきたいと思います。

色材とは、人工物の着色に用いる原料のことを指します。
生地以外にも絵画、陶漆器、建築物や化粧品などなど、
身近なものにたくさん使われています!
私たちの生活は文字通り、色材によって彩られているのです。

染料と顔料の違い

色材は染料顔料の2種類に分けられます。

染料は顔料に比べて粒子が細かく、
繊維の分子と染料の分子が科学的に結合することで着色します。

身近なものを例に挙げてみると…
染料→繊維・紙・皮革の着色、水性インク、染毛剤などに使われます

一方、顔料は粒子が大きく化学的に結合することができない性質のため、
バインダーという定着剤を使うことで、繊維の表面に固着します。
(染料は水や油に溶ける一方、顔料は水や油に溶けないものと紹介されることもありますが、
厳密には水に溶けない性質を持つ染料も存在するので、この説明は正しくないといえます)

顔料→プラスチックや陶磁器、建築物の塗料、画材、印刷用インク、化粧品などに使われます

メリットとデメリット

染料を使用した捺染は、色素を持つ細かい粒子が繊維の奥まで浸透するため、
発色に透明感があり、グラデーション柄など表現の幅も多彩です。
また、捺染後の生地の風合いが柔らかく仕上がることも長所として挙げられます。
生地が本来持つ肌触りや吸水性が損なわれないのは、大きなメリットです。

しかし、生地の混率(綿、ポリエステルなど生地の原材料)によって
使う染料の種類を変える必要があります。
繊維と科学的に結合して発色するからこそ、生地との相性があるというわけですね。
また、繊維に吸着して発色するので顔料よりも滲みやすいです。


一方、顔料プリントは粒子が大きいので、繊維の奥までは浸透しません。
顔料とバインダーの層が繊維の表面に載っているので、
染着後の手触りが固く凹凸が出やすくなります。
ですが、このような顔料特有の立体感が好まれることもあります◎

Tシャツやトートバッグのデザインで、凹凸のあるプリント柄をよく見かけますよね。
顔料プリントは細い描線も滲まずにプリントできます。

また、黒などの濃い色の生地に白い顔料を載せてもはっきり白が発色します。
(染料では白色というのは存在せず、黒い生地に重ねても発色しないのです…!)
色材に透明感がないからこそできる表現ですね。

黒い生地に蛍光顔料で水玉模様を載せたものです。
写真ではわかりづらいですが、プリント部分だけ質感が異なります。


染料での捺染は全面プリントにも適していますが、
顔料は凹凸を活かしてモチーフ単位で染めるとカッコよくなりますね!

さらに、顔料染めでは着色後の洗い(ソーピング)の工程を必要としないので
廃液の削減納期短縮にもつながります◎

大本染工の染料・顔料プリント

大本染工のインクジェットでは染料プリント、
オートスクリーンでは染料プリントと顔料プリント両方行っております。

さらに近年改良が進み、オートスクリーンで
ダイストーンという色材が登場しました。
顔料プリント同様に蒸しとソーピングの工程は不要かつ、
顔料染め特有の生地の硬化を比較的抑えたプリントが可能になりました。

色材の技術進歩は目覚ましいですね!

ダイストーンで染めれば柄の表現も手触りも両立できます◎

まとめ

というわけで、各色材の特徴をまとめました~

染料の!

メリット
・繊維の奥まで浸透しているので摩擦に強い
様々な柄を染められる
・仕上がりが柔らかく肌触りが良い

デメリット
・生地の組成によって染料の種類を変える必要がある
(この染料の種類についてはまた別の記事でお伝えします!)
・柄によっては滲みが目立つことも…

顔料の!

メリット
生地の混率を気にせず染められる
濃色の生地に対して薄い色のモチーフをプリントできる
・蒸し、ソーピングの工程が不要→環境にやさしく短納期

デメリット
・顔料が乗っている部分は風合いが固くなる→凹凸を好む人も◎
・染料に比べると摩擦に弱い

このように染料プリントと顔料プリント、それぞれ柄の表現や仕上がりに特徴があります。
目指す意匠や風合いに合わせて色材を使い分けることで、
理想的なテキスタイルプリントが可能になります。

また、各色材の長所を取り入れたダイストーンなど、
新しい色材の開発も楽しみですね!

大本染工でも実用に向けて試験中の色材や材料がありますが、
それらの紹介についてはまた別の機会に…。

ではでは、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました☀



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